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豆知識 Vol.19
被相続人の養子縁組の有効性に疑いがある場合について

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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遺産分割において、被相続人がなした養子縁組の有効性が問題になる場合としては、以下のような事案が典型例です。

【事案】
被相続人Aが亡くなった。Aの実子は長男Bと二男Xの二人である。
Xが遺産分割手続の準備としてAの戸籍謄本を取得したところ、Aがその死亡直前にBの子Yと養子縁組をしていたことが判明した。
Xは、Aからそのような話は全く聞いていなかった。
Aが生前Yを特別に可愛がっていたというような事情もなかったので、Xは、Bが遺産分割で自己の実質的な取り分を増やすために何らかの工作を行ったのではないかと疑念を抱いた。

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このような場合に考えられるのは、①B(あるいはY)が養子縁組届を偽造して届け出た、②Aが認知症等で判断能力に問題がある状態で養子縁組がなされた、といったケースです。

このような場合、Xとしてはどのように調査をしたら良いでしょうか。


1 養子縁組届の偽造の場合

Xとしては、養子縁組届記載事項証明書を市区町村もしくは法務局で入手して、養子縁組届に記載された筆跡が真実被相続人Aのものか確認するという方法があります。
この証明書の発行の申請は、養子縁組の日から1ヶ月間は市区町村に対して、それ以降は法務局に対して行います。
なお、養子縁組届は原則非公開の書類であるため、養子縁組届記載事項証明書の発行は特別な事由がある場合に限定されています。そこで申請に当たっては「養子縁組無効確認訴訟の訴訟準備のため」というように開示理由を明らかにする必要があります。


2 被相続人の判断能力に疑義がある場合

被相続人の養子縁組当時の判断能力の立証は、大きく二つのアプローチに分けることができます。

⑴ 医学的観点からのアプローチ
認知症や統合失調症などの精神疾患の診断があるか、その重症度はどの程度だったかを調査します。具体的な証拠としては、カルテや診断書、心理的検査の結果などが挙げられます。

⑵ 被相続人の行動観察からのアプローチ
看護記録や介護記録のような資料の他、介護ヘルパーなど日常的に被相続人と接していた者などから事情を聴き取り、養子縁組当時の被相続人の判断能力を明らかにします。


いずれにしても、一般の方には資料の入手が難しいかもしれませんので、調査も含めて弁護士に依頼するのがよろしいでしょう。

 

2017年10月23日掲載

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