盛岡の弁護士による相続のご相談
佐藤邦彦経営法律事務所

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随想録 Vol.1 
いわゆる「所有者不明土地問題」について

先日、曽祖父の代で所有権登記が止まっている土地をなんとかしたいと相談にいらした方がありました。

その方はこれまで、その土地を利用している訳でもないのに、他に払うと言ってくれる親族がいないため仕方なく固定資産税を負担してきたのですが、自分の相続が気になる年齢になって、この面倒な問題を子の代に残したくないとお考えになったようです。

この方は当初、何が何でも自分の代で解決するという強い決意のもと調査に励んだのですが、そこで判明したのは次のような事実でした。

  • 現在の登記名義人は曽祖父(最後の登記は70年以上前)
  • 曽祖父の子は8人
  • 曽祖父の子(つまり祖父の兄弟)の中には再婚した者あり(前妻と後妻それぞれとの間に子が複数名あり)
  • 行方不明者複数名あり
  • 法定相続人になりそうな者は判明しているだけで30名以上に上る

その方は、さすがに自分の手には余ると判断して相談にいらしたわけですが、このような事態は弁護士でも対処しきれるものではありません。
遺言を使って、不動産を特定の相続人に集中させる方策を講じていればこのような事態は避けられたのかもしれませんが。

これは、いわゆる「所有者不明土地問題」と呼ばれるものです。
最近、特にクローズアップされてきたように思います。

国土交通省の公表によると、同省が茨城県内で実施した国道整備事業では、土地名義人が明治生まれの女性で最後の登記がなされたのが日露戦争が始まった明治37年、法定相続人は判明しただけで148名にも上り、中には海外に移住した後死亡した人もいた、といった事案があったようです。
・・・気が遠くなるような事案ですね。
土地の所有者がはっきりしなければ、公共事業もままなりません。

同省の調べでは、50年以上登記の変更がない土地は大都市圏で6.6パーセント、中小都市・中山間地域では26.6パーセントに上るそうです。これらの土地は全て、潜在的な所有者不明土地と言ってよいでしょう。

元総務相の増田寛也氏が座長を務める「所有者不明土地問題研究会」の試算によれば、この問題による経済的損失は2016年で約1800億円、2040年までの累計では実に6兆円にも達するそうです。

この問題について、法務省は来年度から本格的な調査に乗り出すという話ですが、対策が遅きに失していると言わざるを得ません。

この手の問題は、国でなければ何ともできないのですから、一刻も早い対処を望みたいですね。

掲載日:2017.11.6

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