豆知識 Vol.37 特別受益の対象について

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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民法は特別受益の対象として「遺贈」「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本」としての「贈与」を規定しています。

しかし、現実の相続では様々なケースで特別受益該当性が問題となります。
以下、代表的なものをご紹介します。

■ 遺贈
遺贈とは、遺言によって自己の財産を無償で他人に与えることをいいます。

遺贈は、推定相続人に対してはもちろん、それ以外の者に対しても行うことができますが、特別受益との関係で問題となるのは、共同相続人の中の1人または数人に対して行われた遺贈です。

遺贈は、その目的のいかんを問わず、特別受益とされます。


■ 生前贈与
1 婚姻若しくは養子縁組のための遺贈

この類型に当たる例としてよく問題になるのが、俗に「持参金・支度金」と呼ばれる金銭の交付です。

原則として、持参金や支度金の交付は特別受益として持戻しの対象となります。

もっとも、全ての場合が特別受益に該当するというわけではなく、被相続人の資産・収入に比べて金額が少額である場合や、共同相続人全員が同程度の贈与を受けている場合などは持戻しの対象とする必要はないと考えられています。

2 生計の資本としての贈与

高等教育に係る学費などが問題となります。

大学や大学院などへの進学費用といった学資は、将来の生計の基礎となるものですから、一般的には生計の資本としての贈与といえます。

しかし、高等進学率はもちろん、大学進学率が高まった現代においては、高等教育にかかる学費が直ちに特別受益に当たるとするjのは違和感があります。

そこで、ここでも例外があり、被相続人の資力や社会的地位、他の相続人への贈与の有無を検討した上で、学資の支出が親である被相続人の当然行うべき扶養義務の履行と判断される場合は特別受益には該当しないと考えられています。

■ その他
1 生命保険金

被相続人がかけていた生命保険契約に基づき相続人が受け取った死亡保険金(または死亡保険金請求権)は、受取人である相続人が固有の権利として受け取るものですので、原則として特別受益には該当しません。

ただし、最高裁判例によれば「保険金受取人である相続人と、その他の共同相続人との間に生じる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合」には、同条の類推適用により持戻しの対象となるとされています。

2 死亡退職金などの遺族給付

上述の生命保険金と同様、原則として特別受益には該当しませんが、共同相続人間の実質的公平を害するような場合は持戻しの対象になると考えられています。

3 不動産の無償使用など

無償使用は、法律的には使用貸借に当たります。

この場合、使用借権の設定自体と無償使用に伴う地代・賃料相当の利益が生計の資本としての贈与に当たるのではないかが問題となります。

 

2017年12月22日掲載

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