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豆知識 Vol.94 遺産分割前の預金の払戻しについて

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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預金者が死亡した場合、金融機関はそれを知った時点で預金口座を凍結します。
口座振替の契約がある場合は、それも停止されます。

預貯金の相続については、平成28年12月の最高裁の決定で、預貯金債権は相続の開始によって当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象になると判示されています。
この考え方によると、被相続人の預貯金は遺産分割協議を経なければ引き出せないことになりそうです。

一方、相続人としては、葬儀費用や病院、老人施設などへの諸払いに被相続人の預貯金を当てたいといった事情もあるでしょう。

この点について、令和元年の法改正で、遺産分割前の預貯金の払戻しを可能にする2つの制度が創設されました。

1 民法900条の2前段による預貯金債権の行使

これは、相続開始時の預貯金額の3分の1に法定相続割合を乗じた金額については、相続人は単独でその権利を行使できるとするものです。
ただし、各金融機関ごとに上限額が150万円とされています。

2 審判前の保全処分(仮分割の仮処分)

これは、家庭裁判所の手続を利用するもので、遺産に属する特定の預貯金債権の全部または一部を申立人に仮に取得させることができるとされました。
この方法による場合は、上記1の預貯金債権の行使のような上限額はありません。

保全処分の要件は以下の通りです。

  • 遺産分割の審判または調停の申立てがなされていること
  • 相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権を行使する必要があること
  • 相続人からの申立てがあること
  • 他の相続人の利益を害しないこと

法改正前の制度に比べれば要件は緩和されているのですが、それでも依然として一般の方には手続負担が重いと思われますので、弁護士に依頼することになるでしょう。

2022年11月28日掲載

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