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豆知識 Vol.106 自筆証書遺言の利点と危うさについて

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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遺言書の方式の一つに、自筆証書遺言というものがあります。
この遺言は、民法所定の方式に従って作成しなければ無効になってしまいますが、遺言者が1人でも作成できる点で最も簡便な遺言形式です。

1 利点

利点は、何と言っても、その簡便性にあります。

自筆証書遺言は、遺言者が、その全文と日付、氏名を自書し、これに押印することによって成立します。
様式が特に決まっているわけではありませんので、ノートやメモ用紙、郵便はがき等に書き留めた遺言であっても、法が定める要件を満たすならば立派な遺言書となります。

遺言書に添付する財産目録については、以前はこれも全て遺言者の自書によることが要求されていましたが、法改正により、現在は自書によらずにパソコンなどで作成することもできるようになりました。

また、自筆証書遺言であれば、公正証書遺言のような費用もかかりません。


2 自筆証書遺言の危うさ

上述のように自筆証書遺言には少なからぬ利点があります。

しかし、自筆証書遺言には以下のような危うさがあることに注意が必要です。

⑴ 内容の不明確性

自筆証書遺言は、法律の専門家ではないごく普通の方が作成するので、ややもすると不明確な内容になってしまい、後日の紛争を引き起こす原因になりがちです。

「すべての財産を〇〇〇〇に相続させる。」といったシンプルな遺言であれば、内容が不明確とはならないでしょうが、遺産を複数人に承継させる場合は自分では明確な分け方を指定したつもりでも、複数の解釈が成り立つなどして紛争になるケースが多々あります。

⑵ 保管の不確実性

自筆証書遺言は、遺言者が自分の所持品と一緒に遺言書を保管する場合が多いと考えられますが、適切に保管していないと遺言書が発見されない恐れがあります。
そうした事態をおそれて、特定の相続人に保管を任せることも考えられますが、その場合でも他の相続人の疑念を生じさせるなど、なかなか円満な遺産分割にはつながらないようです。

自筆証書遺言の保管については、法務局の遺言書保管制度を活用するのが良いでしょう。
この制度を活用することによって、遺言書の紛失や亡失、破棄、改ざん、隠匿などのリスクを防止できます。

もっとも、法務局の保管制度を活用する場合は、法務省令で定められた様式に従って遺言を作成しなければなりません。

また、保管申請にあたっては、遺言者が法務局に自ら出頭して行わなければなりませんので、健康状態などの理由で出頭が難しい場合は利用は困難と思われます。

⑶ 遺留分に対する不十分な配慮

自筆証書遺言は簡易に作成できることが利点ですが、不用意な内容で遺留分権利者の遺留分を侵害する事例が少なくありません。

遺言者にとっても、自分の死後に自分の遺言書で禍根を残すのは不本意なことでしょう。

後日の紛争を回避するために、遺言の作成にあたっては内容を十分に吟味する必要があります。

2023年11月20日掲載

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