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豆知識 Vol.107 一部の財産のみを対象とした遺言書

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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時折、ある特定の財産の処理についてだけ記載した遺言書の作成の相談を受けることがあります。

例えば、高齢の会社経営者が、事業に供している自己所有の不動産だけを対象にして、後継者となる相続人に相続させるような場合です。

代替わり後の円滑な事業運営を可能にする上で、事業に欠かせない重要な財産は、後継者の単独所有にすることが望ましいといえます。

確かに、法律上、遺言書には全ての財産について言及しなければならないといった制約はありませんから、このような内容の遺言書も有効です。

しかし、このような遺言書は、いざ相続が開始した後の紛争を引き起こす恐れがあり、後述する対策なしではお勧めできません。

相続財産の特定の一部のみを対象とする遺言書がある場合、遺言書に記載のない財産については原則通り遺産分割協議が必要となります。

このような場合、事業の後継者となった相続人は「遺言書は事業承継のために作られたものだから、遺産分割ではこれを除外して考えるべきだ」と主張したいところでしょう。
これに対して、他の相続人たちは、後継者相続人の取得財産が突出して多くなることに不満を覚えるでしょう。

この点に対する対策としては、遺言者がなぜこのような遺言書を作成したのか、その動機を付言事項で記述するという方法があります。

二つ目の対策として、遺産分割方法の指定があります。

また、遺言書で対象とされた財産の評価額によっては、他の相続人の遺留分侵害が問題となることも考えられます。

確かに、遺言者は、遺言書を作ることによって自分の希望を実現できます。

しかし、遺言書を契機として相続人が仲違いしてしまうのは不本意でしょう。
遺言書の作成にあたっては、相続財産の一部にだけ着目するのではなく、相続財産全体に目を配り、生命保険契約があればこれも考慮するなど、広い視野で多角的に検討して円満な相続を実現することが大切です。

2023年12月8日掲載

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