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豆知識 Vol.48 
祭祀財産を承継する相続人が不明な場合について

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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1 具体例

例えば、このような事例があったとします。

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被相続人である高齢の甲さんは、自己の死後相続人間で争いのないよう、遺言書を書くことに決めました。
相続人は、子供2人(長男Aさん、二男Bさん)です。
遺言書によれば、甲さんは、自宅不動産を含めて全財産の7割相当を同居していたAさんに相続させ、Bさんには3割相当の財産を相続させるとされていました。
ところが、遺言書には祭祀承継について何ら言及がありませんでした。
甲さんの死後、Aさんは法事や墓の管理をしようとしません。
Bさんは、自分は遺産を少ししか相続していないので祭祀を承継するつもりはなく、Aさんが承継すべきと考えています。

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さて、このような場合、祭祀財産は誰が承継することになるのでしょうか。


2 祭祀の承継、祭祀財産とは

祭祀の承継とは、祭祀財産を承継して先祖の墓守や祭事、法事を主宰していくことを言い、祭祀財産とは、祖先の祭祀を行うのに必要な財産で、例えば墓地や墓石、位牌、仏壇、仏具、神棚、神具、系譜などがこれに当たります。


3 祭祀財産の承継者の決定

祭祀財産の承継については、民法は被相続人の一般財産とは異なる定めを置いています。
それによれば、まず、被相続人が祭祀財産の承継者を指定したときはその者が祭祀承継者となり、指定がない場合はその地方の慣習によって決められた者が祭祀承継者になります。さらに、慣習も明らかでない場合には、家庭裁判所の調停ないし審判によって決められます。

調停と審判は、どちらを先に申立てなければならないということはありませんが、いきなり審判を申し立てた場合は、自主的な解決が可能な事件類型であることから、通常は調停に付されることになります。

調停が不成立となった場合は、調停申立時に審判の申立てがあったものとみなされ、事件は当然に審判手続に移行します。

審判では、裁判所は、承継者と被相続人の身分関係の他、過去の生活関係、生活感情の緊密度、承継者の祭祀承継の意思や能力、利害関係人の意見等、諸般の事情を総合して判断することになります。

 

2018年2月22日掲載

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