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豆知識 Vol.50 相続分の譲渡について

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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■ 相続分の譲渡とは

民法は、その905条1項で「共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。」と規定しています。
これは「相続分の取戻権」といいますが、その前提として法は相続分の譲渡を認めていることが読み取れます。

ここにいう「相続分」とは、各共同相続人が相続財産に対して有する包括的持分をいうとするのが通説的な見解です。
最高裁も、同条項にいう「相続分」の譲渡とは、特定不動産の譲渡というものではないと判示しています。
つまり、相続分の譲渡とは、個別の財産の譲渡をいうのではなく、各共同相続人が相続財産全体に対して有する割合的持分あるいは法律上の地位を移転することを意味します。


■ 相続分の譲渡が検討されるケース

相続分の譲渡が検討されるケースの典型例としては、ある相続人が負債を負っていて自己の固有財産での返済に窮している場合などが考えられます。
今手持ちの財産では返済に足りないが、発生した相続で取得できるであろう財産的価値をもって弁済に当てるという場合です。

弁済のスキームとしては、本来の弁済に代えて経済的価値を有する相続分で代物弁済する、あるいは、相続分の譲渡代金債権で相殺するというイメージになります。


■ 相続分譲渡の効果

相続分の譲受人は、譲渡人である相続人が有していた法律上の地位・包括的持分を取得しますので、他の共同相続人に対して遺産分割を請求することができます。

また譲受人は、遺産分割の協議、調停、審判に参加することができます。


■ 相続分譲渡の方式

相続分譲渡の方式については、法はなんら規定していませんので、極端なことを言えば口頭でも構いません。
しかし、後日の紛争を回避するためには、譲渡人と譲受人の間で相続分譲渡証書を作成し、他の共同相続人に相続分の譲渡を通知することが望ましいでしょう。

なお、相続分の譲渡は遺産分割前に行う必要があります。

 

2018年3月9日掲載

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