豆知識 Vol.31 相続手続回避と遺言代用信託の活用

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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核家族化が進展した現代の社会では、子供が独立した後は高齢の両親が後に残される、ということがありがちです。

「自分たち夫婦は二人暮らし。お互い高齢になり、子供たちは独立して遠くに住んでいる。今後、自分に何かがあったとき、残された妻のことが心配だ。妻が煩雑な相続手続をすることができるのか、最近の金融機関は相続預金の払い戻しにすぐ応じてくれないと聞く。しかし、現金で手元に置いておくのも心配だ。」

こういった悩みを抱える方は少なくないでしょう。

このような場合に検討する価値があるのが、家族信託の一類型である「遺言代用信託」です。


■ 遺言代用信託とは

遺言代用信託とは、生前に自分(委託者)の財産を他人(受託者)に信託して、生存中は委託者自身を受益者としておき、自分の死亡後は残された配偶者や子らを受益者とすることによって、自分の死後の財産分配を実現しようとする契約をいいます。


■ 相続手続の回避と遺言代用信託

遺言代用信託は、文字通り「信託契約」ですから、信託の目的となる財産(信託財産)は委託者の財産から外れます。
したがって、委託者が亡くなった場合でも信託財産は相続財産には含まれず、例えば預貯金などは相続開始によって金融機関が凍結するということもありません。

このようなメリットから、近年は相続手続回避のために遺言代用信託(金銭信託)が活用されるようになり、信託銀行が提供する遺言代用信託商品の利用件数は飛躍的に増加しているようです。

遺言代用信託は、遺言そのものではありませんから、遺言について法が定める厳格な規律は及びません。

実際の手続としては、当事者間で「遺言代用信託契約書」を作成するだけです。
この契約書は公正証書で作成するケースが多いようです。
それから、信託銀行の商品を利用せずに預貯金を信託財産として家族が受託者となる場合は、口座名義について金融機関との調整が必要になるでしょう。


■ 留意点

まず、似て非なるものに「遺言信託」があります。
遺言信託は、「遺言による信託」ですから、民法で定める厳格な方式を履践しなければ無効になります。
また、遺言代用信託では遺言執行は必要ありませんが、遺言信託ではこれが必要になってきます。

それから、遺言代用信託は、死因贈与と類似の機能を有していますので、遺留分減殺請求の対象になります。
したがって、遺言代用信託を活用する場合は、将来の禍根を残さないよう他の相続人には別途財産的な手当てをしておく必要があります。

 

家族信託については、こちらの記事もご覧ください。

 

2017年12月1日掲載

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