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豆知識 Vol.32 遺言信託
〜障害ある子を持つ親が自己の死後に備えて打てる方策

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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障害のある子を持つ親の多くは、自分の死後の子の生活に大きな不安を抱えているものです。

一般に、障害ある子の生活を保護する法的メニューとしては、法定後見制度が考えられますが、これは精神上の障害により判断能力が減退した者を対象とするものですので、例え難病や重度の身体障害を有していても、判断能力が減退しているといえなければ活用できません。

そこで、このような事態に対処する方策として、近年遺言信託の活用が注目を集めています。

遺言信託とは、文字通り「遺言による信託」で、自己の死後、相続財産の全部又は一部を信頼できる受託者に信託し、受益者である障害を持つ子のために相続財産を管理・運用・処分してもらうことを内容とする遺言をするものです。
遺言信託では子の判断能力の減退は問題になりません。
加えて、障害者自身による財産の散逸・処分のリスクも回避することができます。

受託者は、多くの場合、近親者が就任すると思われますが、受益者代理人として弁護士などの専門職を指定しておけば、障害ある子の利益保護に欠けることはないでしょう。
受益者代理人とは、受益者のために受益者の権利に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する者で、誠実かつ公平にその権限を行使すべき義務を負っています。

受益者となる子が精神上の障害を負ってる場合には、遺言信託の活用と並行して成年後見を利用するのも一つの手です。
遺言信託では、受託者は信託財産の管理や生活費の交付を担いますが、障害者の生活全般を支援する必要があれば、別途成年後見制度で対応するわけです。

家族信託については、こちらの記事もご覧ください。

 

2017年12月4日掲載

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