盛岡の弁護士による相続のご相談
佐藤邦彦経営法律事務所
岩手県盛岡市中央通1丁目8番13号 中央ビル2階
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遺産分割協議の後に、思いもよらぬ多額の債務の存在が判明するという話は決して珍しくありません。
例えば、遺産分割協議で他の共同相続人が多めに財産を取得するという分割をした場合、その後判明した債務についてはどのような負担をすることになるのでしょうか。
また、そもそもそのような債務の存在が前もってわかっていたら、遺産分割協議などせず相続放棄をしていたというような場合はどうでしょうか。
■ 債務の相続
借入金のような可分債務は、遺産分割を経ることなく、相続開始と同時に各相続人に法定相続分に応じて帰属するというのが判例の立場です。
したがって、遺産分割協議において、ある相続人が積極財産を多めに取得することにしたからといって、その相続人が負債も多めに承継するということにはなりません。
■ 相続放棄との関係
遺産分割協議の成立は法定単純承認事由に該当しますので、遺産分割協議が成立した後は原則として相続放棄をすることはできません。
もっとも、遺産分割協議に重大な思い違い(「要素の錯誤」)があるといえるような例外的な場合には、遺産分割協議の無効を主張することができます。
したがって、このような場合には法定単純承認の効果は発生せず相続放棄が認められる余地があります。
2018年4月13日掲載