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豆知識 Vol.3 債務も遺産分割の対象となるか

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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遺産分割の際に、債務(簡単に言えば借金ですね)の負担についても取り決めるケースがよくあります。

例えば、商売を営んでいた被相続人が亡くなり、相続人が被相続人の配偶者Aと子B、子Cの3名で、被相続人の商売を子Bが承継するので商売上の借金もBが一手に引き受けるといったケースが典型例です。

このような取り決めをすること自体は、なんら禁じられるものではありません。しかし、債権者との関係でこの取り決めを主張することができるかは、別問題です。

それでは、このような取り決めがある場合に、債権者はこれに拘束されるのでしょうか。

結論から言うと、相続人間の取り決めがあっただけでは、債権者は拘束されません。

債務については、被相続人が死亡して相続が開始すると、遺産分割協議が成立していなくても各相続人は被相続人の債務について法定相続分にしたがって分割された額を当然に負担することになるのです。
これは、相続を機に相続人らの一存で債務者が決められたのでは、債権者の不利益になりかねないからです。資力に乏しい者に債務を押し付け、資力のある他の相続人は知らん顔、という場合を考えれば明らかですよね。
そういう意味では、債務は遺産分割の対象にはなりません。

したがって、上のケースでも、債権者は、A、B、C全員に対して、その法定相続分に応じて支払いを求めることができるのです。

もっとも、相続人間で上のような取り決めをするに当たって、債権者が承諾しているような場合であれば、話は別です。
このような債務の引き受けは法律的には免責的債務引受契約といいますが、債権者の承諾があればこの契約の拘束力も債権者に及ぶわけです。

上の例でも、A、B、Cが取り決めをするに当たって債権者の承諾を得ておけば、AとCは債権債務関係から離脱し、支払いを免れることができます。

債務の負担を特定の相続人に集中させることを検討している相続人のみなさんは、そのような扱いが事情に照らして合理的であり、債権者に迷惑がかからないことを十分に説明する必要があります。

 

2017年9月1日掲載

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