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豆知識 Vol.28 相続放棄:法定単純承認が問題となる場合

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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1 法定単純承認とは

相続放棄をするには、その相続人が法定単純承認事由に該当する行為をしていないことが前提とされています。

民法は、法定単純承認事由として以下の三つを規定しています。

⑴ 相続人が相続財産の全部又は一部を「処分」すること
⑵ 相続人が熟慮期間中に限定承認又は相続放棄をしなかったこと
⑶ 相続人が限定承認又は放棄をした場合であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったこと

よくある相談としては、「〜ということをしたいのだが、これをすると、相続放棄できなくなるということはありませんか?」というものがあります。
上でいうところの⑴「処分」該当性の問題です。

問題となる行為の類型としては、遺産分割協議書の作成や形見分け、被相続人が残した債務の弁済などがあります。


2 遺産分割協議書の作成

遺産分割協議は、通常、共同相続人が相続財産の全容を把握した上で、その財産の帰属を決するものですから、原則として「処分」に該当し、以後は相続放棄できません。

もっとも、「特別な事由」がある場合には、なお放棄することができるとした裁判例があります。


3 形見分け

形見分けは、対象となる財産の経済的価値が考慮され、経済的に重要性を欠く形見分けは「処分」には当たらないとされることが多いようです。


4 債務の弁済

相続人は、相続の承認又は放棄をするまでは、相続財産について自己の財産におけるのと同一の注意義務をもって管理しなければならないとされています。
したがって、相続人は相続財産を管理する権利義務を有することになりますので、保存行為は「処分」には該当しません。

弁済期が到来した債務の弁済は、保存行為に該当すると解されていますので、相続人の財産から弁済をしたとしても、法定単純承認事由である「処分」には該当しません。
したがって、このような債務の弁済をしたとしても、相続放棄をすることは可能です。


5 その他

その他にも、墓石等の購入や生命保険金・死亡退職金の受領、被相続人の車の廃車等についてお問い合わせを受けることがあります。

なお、ここにいう「処分」には、遺産を売却するといった法律行為だけでなく、物を壊すなどの事実上の行為も含むとされていますので、ご注意ください。

 

2017年11月22日掲載

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