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豆知識 Vol.98 相続土地国庫帰属制度について

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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本年4月から相続土地国庫帰属制度という新しい制度がスタートします。

これは、相続等により土地を取得した所有者が、法務大臣に承認申請をして、審査により要件を満たすと判断された場合にはその土地の所有権を国庫に帰属させることができるというものです。
根拠法は民法ではなく、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」となります。

従来は、相続財産の中に取得を望まない土地があった場合、相続人はその土地を含めて相続するか、相続放棄をするかの選択に迫られていました。
相続した上で売却等の処分ができればいいのですが、郊外の土地や農地、山林等ではなかなかそうもいきません。
相続人が遠隔地に住んでいる場合は、管理に困難を強いられます。
こうしたことで放置される土地が多数発生し、所有者不明土地の温床となっていました。
この制度を利用することで、活用の目処が立たず管理困難な土地を相続財産から分離して他の相続財産を相続することが可能になります。
 

■ 国庫帰属に至るまでのプロセス

1 所有者による承認申請

本制度を利用して承認申請ができる所有者は、相続または相続人に対する遺贈によって土地の所有権または共有持分を取得した者に限られます。
申請は、対象となる土地の所在地を管轄する法務局に行います。

 

2 審査

(1)申請要件

審査においては、まず、その承認申請が以下に挙げる却下事由に該当しないことが必要とされます(ブラックリスト方式)。

① 建物のある土地

② 担保権または使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地

③ 通路その他の他人の使用が予定される土地

④ 土壌汚染がある土地

⑤ 境界が不明な土地その他所有権の存否、帰属、範囲について争いがある土地

(2)承認要件

申請要件の次にクリアしなければならないのが承認要件です。
以下に挙げる事由に該当しないことが必要となります。

① 崖がある土地のうち、管理に過分の費用・労力を要するもの

② 土地の管理・処分を阻害する工作物等が地上に存する土地

③ 除去しなければ通常の管理・処分ができない有体物が地下に存する土地

④ 隣接する土地の所有者等と争訟によらなければ通常の管理・処分ができない土地

⑤ 上記のほか、通常の管理・処分をするにあたり過分の費用または労力を要する土地

なお、以上のいずれの事由にも該当しない土地については、法務大臣は申請を承認しなければならないとされています。
 

3 承認の通知と負担金の納付

無事に国庫帰属が承認されると、承認申請者にその旨と負担金の額が通知されます。

負担金は、対象となる土地について、国有地の種目ごとにその管理に要する10年分の標準的な費用の額を考慮して政令に定めるところによるとされ、具体的には以下の通りです。

  • 宅地、田、畑:面積に関わらず20万円
  • 一定の市街地の宅地及び農用地区域等の田、畑:面積に応じて算定する。
  • 森林:面積に応じて算定する。
  • 上記以外の土地:面積にかかわらず20万円

ここで注意しなければならないのは、負担金を期限内に納付しない場合は承認の効力が失われるとされている点です。
負担金は通知を受けた日から30日以内に納付しなければなりませんので、あらかじめ資金を準備しておく必要があります。

4 本制度の施行日

本制度を定める相続土地国庫帰属法の施行日は、本年4月27日とされています。

2023年3月6日掲載

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