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豆知識 Vol.82 配偶者居住権について

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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改正相続法では、被相続人が所有していた持ち家に住んでいた配偶者の居住の利益を保護する制度が設けられました。
それが、配偶者短期居住権と配偶者居住権です。
(施行日は2020年4月1日)


1 従来の扱い

従来、相続開始時に被相続人の持ち家に無償で住んでいた配偶者は、被相続人との間で使用貸借の合意があったと推認されるという論理で保護が図られてきました。

それが今回の改正で要件効果が明確化されたわけです。


2 配偶者短期居住権

⑴ 1号配偶者短期居住権

これは、居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をする場合、遺産分割によって居住建物の帰属が確定した日または相続開始時から6ヶ月を経過する日のいずれか遅い日まで、配偶者は引き続き居住建物を無償で使用することができる、というものです。

権利の内容は居住建物の「使用」に限られ、「収益」を目的とすることはできません。

また、配偶者が相続開始時点で「建物の一部」のみを無償で使用していた場合は、この短期居住権が成立するのは当該部分に限られます。

それから、この権利は使用貸借と同様、第三者に対する対抗力はありません。

⑵ 2号配偶者短期居住権

これは、配偶者が居住建物について共同相続人間での遺産分割の当事者とならない場合に、建物の所有権を取得した者から配偶者短期居住権の消滅を申し入れられた場合は、そこから6ヶ月を経過するまでは配偶者短期居住権を有するというものです。
これは例えば、被相続人が居住建物をある相続人に相続させるという遺言を遺していた場合や、遺贈・死因贈与をしていたような場合です。

内容的には、権利の存続期間以外は1号配偶者短期居住権と同様です。


3 配偶者居住権

配偶者は、被相続人が所有する建物に相続開始時に居住していた場合において、次のいずれかに該当する場合には、その建物の全部について無償で「使用及び収益」をする権利を取得します。

① 遺産分割によって当該配偶者が配偶者居住権を取得するものとされたとき

② 被相続人によって配偶者居住権が当該配偶者への遺贈の目的とされたとき

③ 被相続人との間に、配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の死因贈与契約があるとき

したがって、被相続人が配偶者にこの権利を取得させたければ、生前に遺言等の措置を講じておく必要があります。

配偶者居住権においては、短期居住権とは異なり建物を収益に回すことも可能です。

また、権利の存続期間については、遺産分割協議等で自由に定めることができます。
存続期間の定めがない場合は終身の居住権となります。

さらに、配偶者には登記請求権が認められ、配偶者居住権が登記されれば第三者対抗力も備わります。

このように、この権利は配偶者に大きな利益をもたらしますが、譲渡は認められていません。

 

2020年1月10日掲載

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