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豆知識 Vol.22
遺言書を発見した場合の検認手続について

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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1 遺言書の検認とは

民法上、遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なくこれを遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出して検認手続を受けなければならないとされています(民法1004条1項前段)。これは、遺言書の保管者がいない場合で相続人が遺言書を発見した場合も同様とされています(同法1004条1項後段)。ただし、公正証書遺言は検認手続を経る必要はありません(同法1004条2項)。

遺言書の検認とは、遺言の執行前において、遺言書の形式その他の状態を調査確認し、その保存を確実にするための一種の形式的な検証手続ないし証拠保全手続です。
遺言書の実質的な真否や効力の有無を判定するものではありませんので、検認を受けた遺言書の効力を裁判で争うことは可能です。


2 検認の対象

検認の対象は、抽象的には「遺言書」ですが、被相続人が遺した書面が果たして検認を要する「遺言書」に当たるかは、かなり微妙な場合もあります。例えば、単に墓所や埋葬の仕方を指示したにすぎないものや、単なる子孫に対する訓戒を書き留めた文書でも、全て検認を経なければならないのでしょうか。

この点、法律に規定はありませんが、検認手続が遺言書の実質的な効力を判断するものではない以上、被相続人の最終処分を意味するものである限り、検認の対象にすべきと考えられています。したがって、上述した文書はもとより、方式に違反する遺言書や撤回された遺言書、存在しないものを遺贈の対象とするような実体上無効とされる遺言書も検認の対象になります。


3 検認手続規定に違反した場合

遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人が検認手続を怠るなど、検認手続規定に違反した場合、これらの者は5万円以下の過料に処せられます(民法1005条)。

このような罰則の存在を考えれば、多少費用と手間がかかるとしても、検認手続義務が免除される公正証書遺言による方が安心と言えるでしょう。この点も、当事務所が公正証書遺言をおすすめする理由の一つです(遺言書についてはこちらもご参照ください)。

もっとも、遺言書の効力は検認手続とは関係がありませんので、検認手続を怠ったとしても、遺言書の効力が否定されるわけではありません。

 

2017年10月30日掲載

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