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豆知識 Vol.67
自筆証書遺言で第三者が添え手を行なった場合について

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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死を間近にして自筆証書遺言をするというのは決して珍しい話ではありません。

そして、死が目前に迫った状況では字を書くのもままならないことも多いでしょう。
こうした時に、近親者などが遺言者の筆記の補助のために添え手をすることもあるでしょう。

ところが自筆証書遺言では、遺言者がその全文、日付、氏名を自書し、押印することが法律上要求されています。

そして、民法の定める方式に従わない遺言は無効とされているのです。

それでは、上のように第三者が添え手をして作成された自筆証書遺言は有効と言えるのでしょうか。

この点、最高裁判所は、病気その他の理由によって運筆について他人の添え手による補助を受けて作成された自筆証書遺言が有効であるための要件について、以下のような判断を示しました(最判昭和62年10月8日)。


1.遺言者が証書作成時に自書能力を有すること(ここにいう自書能力とは、遺言者が文字を知り、かつ、これを筆記する能力をいいます)

2.他人の添え手が、単に始筆または改行にあたり若しくは字の間配りや行間を整えるため遺言者の手を用紙の正しい位置に導くにとどまるか、または遺言者の手の動きが遺言者の望みに任されており、遺言者は添え手をした他人から単に筆記を容易にするための支えを借りただけであること

3.添え手をした他人の意思が介入した形跡のないことが筆跡の上で判定できること


最高裁は、このような要件を定立しましたが、上記判決では結論として遺言を無効と判示ました。

このように、第三者の添え手を伴って作成された自筆証書遺言が有効であると言えるためには、非常に厳格な要件が要求されているのです。

従って、自筆証書遺言をお考えの方は、体調が悪化する前に早めに手配をすることが肝要と言えるでしょう。

 

2018年6月13日掲載

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