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豆知識 Vol.71 遺贈と死因贈与の違いについて

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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遺贈とは、遺言により人(自然人、法人を問わない)に遺言者の財産を無償で譲ることをいいます。

これに対して死因贈与は、贈与者の死亡によって効力を生じる贈与契約です。


■ 共通点

遺贈も死因贈与も、人の死亡を契機として財産を移転する意思表示という点で共通します。

このため死因贈与には、その性質上準用の余地がないものを除き遺贈に関する規定が準用され、両者には共通する部分が多いのですが、撤回については注意が必要です。

遺贈は、遺言によって行われますので自由な撤回が可能です。

一方、死因贈与も「民法1022条がその方式に関する部分を除いて準用される」(最判昭47.5.25)とされていますので、原則として自由な撤回が可能です。

もっとも、負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与についいては、受贈者が負担の全部又はこれに類する程度の履行をした場合、契約の全部又は一部を取り消すことがやむを得ないと認められる特段の事情がない限り、民法1022条・・・の各規定は準用されないとした判例がありますので、特段の事情がある場合には撤回が認められないことになります。


■ 相違点

遺贈は遺言によって行いますので遺言者が単独で行うことができますが、死因贈与は贈与契約の一種ですので贈与者と受贈者の意思表示の合致が必要とされます。

このことから両者にはいくつかの点において相違点があります。

1 方式

遺贈は、遺言によって行いますので、遺言の方式に従う必要があります。

これに対して死因贈与は、遺言の方式に従う必要はありません。
書面によらない死因贈与も可能です。

2 能力

遺贈は、15歳に達すれば単独で行うことができます。

これに対して、死因贈与は契約の一種ですので、他の契約と同様に行為能力が必要とされます。
したがって、未成年者が死因贈与をする場合は親権者の同意を得るか、親権者が代理してこれを行うことが必要となります。

3 書面の必要性

遺贈は、遺言によって行われますので、原則として書面作成が必要となります。

これに対して、死因贈与は書面によらないで行うことも可能です。

もっとも、書面によらない贈与は、履行の終わった部分を除き、いつでも撤回が可能とされていますので、贈与者が生存中はもちろんのこと、贈与者が死亡した後でも相続人や相続財産管理人は書面によらない贈与であることを理由に死因贈与を撤回することが可能です。

また、死因贈与は贈与者の死後に効力が生じるものですから、書面がなければ高い確率で争いが生じると考えられます。

したがって、受贈者に確実に財産を渡したいのであれば、書面で死因贈与契約を締結する必要があるでしょう。

 

2018年7月6日掲載

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