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豆知識 Vol.41 遺言書の破棄隠匿等が相続欠格事由に該当するには不当な利益を得ようとする動機・目的が必要か

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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民法891条5号は、被相続人の遺言書を破棄・隠匿などした者は、相続人たる資格を失うと規定しています(相続欠格)。

この条項については、相続欠格の要件として同号の該当行為についての故意、つまり、自己の行為が遺言書の破棄・隠匿行為に当たることの認識・認容の他に、相続に関して不当な利益を得る動機・目的(いわゆる二重の故意)まで必要かが問題とされています。


■ 二重の故意の要否

最高裁判所は、以下のように判示して二重の故意必要説に立った判断をしています。

「相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した場合において、相続人の右行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、右相続人は民法891条5号所定の相続欠格者にあたらないものと解するのが相当である。」(最判平成9年1月28日)

最高裁のこの判断は、同条5号の類型が遺言に関して著しく不当な干渉行為をした相続人に対する民事上の制裁という性質を持つものであり、不当な利益を目的としない場合にまで同条項を適用したのでは均衡を失するというもののようです。


■ 不当な利益目的か否かの判断基準

この点について、明確な基準が確立しているわけではありません。
「遺言に関して著しく不当な干渉行為をした相続人に対して民事上の制裁を課す」という同条項の趣旨に照らし、個別に判断していくことになるでしょう。

上記の最高裁判決の調査官解説によれば、自己に対する全部包括遺贈の趣旨が記載された自筆証書遺言書について、法定相続分の取得で良いと考えて破棄した場合などには遺言に対する著しく不当な干渉行為があったとは言えないとされています。


■ 主張立証責任の分配

この点については、相続欠格を主張する側が破棄・隠匿行為の存在について、相続欠格を争う側が抗弁として相続に関して不当な利益を得る目的を有していなかったことについて、それぞれ主張立証していくことになるでしょう。

 

2018年1月6日掲載

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