盛岡の弁護士による相続のご相談
佐藤邦彦経営法律事務所
岩手県盛岡市中央通1丁目8番13号 中央ビル2階
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自筆証書遺言では、遺言者はその全文、日付、氏名を自書し、押印しなければなりません。
そして、民法の定める方式に従わない遺言は無効とされていますので、作成にあたって遺言者は非常に緊張することでしょう。
しかし、緊張すればするほどうっかり書き間違えることも多々あるでしょう。
こういったときは、書き直すという手もあるでしょうが、遺言が長くなるようなときはいちいち書き直すのでは大変ですので、加除訂正が問題になります。
それでは、書き間違えたとき、どのように加除訂正すれば良いのでしょうか。
■ 加除訂正の仕方
民法では、この加除訂正についても規定があり、加除訂正は変更した場所を指示し、変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、変更した場所に押印することを要するとされています(民法968条2項)。
加除訂正の手順をより具体的に示せば以下のようになります。
1 訂正箇所を二本の線で消し、変更する文字を記入する。
2 訂正箇所に押印する(遺言書本文に押印したものと同じ印鑑であることが望ましい)。
3 訂正箇所の欄外に「この行、何字削除何字加入」と記入するか、遺言書の末尾に「何行目、『何々』とあるのを『何々』と訂正した」と記入する。
4 訂正の記入の後に署名する。
■ 訂正の方式違背がある場合の遺言の効力
自筆証書遺言における証書の記載自体からみて明らかな誤記の訂正については、民法所定の方式違背があっても、遺言の効力に影響を及ぼさないとする最高裁判例があります。
しかし、「明らかな誤記」かどうかは判断が難しい場合がありますので、遺言者は細心の注意を払う必要があるでしょう。
2018年6月25日掲載