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豆知識 Vol.18 
いわゆる名義預金の遺産分割における取扱い

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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1 名義預金とは

親が子あるいは孫のために、子あるいは孫の名義で預貯金をすることはよくある話です。このような預貯金を「名義預金」(あるいは「借名口座」)といいます。

このような名義預金は、預入者である親が亡くなったときに、相続人間で争いの元になることが多々あります。次のような事例です。

「被相続人は、相続人の一部の者の名義を使って預金をしていた。被相続人が亡くなった後、名義人は『これは自分名義の預金であり、自分のものだ』と言って他の相続人に無断で払い戻しを受けた。名義人以外の相続人は、被相続人が名義預金をしていることをかねてから知っていたが、遺産分割に当たって他の相続人は名義人に対してどのような主張ができるか」


2 名義預金の預金者は誰か

まず前提として、当該名義預金の預金者は誰でしょうか(預金者の認定の問題)。
この点、一般的には、名義のいかんを問わず自己の金員をもって預入行為を行った者(「出捐者(しゅつえんしゃ)」といいます)が預金者であると考えられています。とすると、本件の場合は被相続人が預金者であることになり、本件名義預金は遺産の範囲に含まれることになります。


3 名義預金が遺産に含まれると主張したい場合

しかし、通常は、出捐者が誰であるかはっきりしない場合が多いでしょう。そこで、当該名義預金が遺産に含まれると主張したい相続人としては、以下のような点について主張・立証していくことになります。

  • 当該預貯金の預金通帳・証書、印鑑等の保管状況
  • 当該預貯金口座開設時の事情
  • 当該預貯金口座が複数名義の場合は、使用された印鑑が同一かどうか
  • 各預貯金の入出金状況
  • 当該預貯金口座開設時に被相続人が資金を捻出する余裕があったかどうか(逆に、名義人が資金を捻出する余裕があったかどうか)等々


4 名義人として考えられる主張

仮に、当該預貯金が名義預金であるとした場合、名義人としては、被相続人から生前に贈与されたと主張することが考えられます。
その場合、以下のような事情があると名義人に有利に働きます。

  • 贈与契約書が作成されている
  • 贈与税申告が行われている
  • 名義人がキャッシュカードを持ち、その住居の近隣の店舗ATMで引き出しが行われている、等々

もっとも、被相続人から名義人に贈与があったと認定される場合でも、その贈与が特別受益に該当する可能性は残ります。

 

2017年10月18日掲載

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