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豆知識 Vol.8 熟慮期間経過後の相続放棄

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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1 相続放棄と熟慮期間について

相続人は、相続放棄を望む場合は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月(熟慮期間)以内に家庭裁判所に申し出なければなりません。これを、相続放棄の申述といいます。

ここでいう「自己のために相続の開始があったことを知った時」(熟慮期間の起算点)とは、被相続人の死亡時ではなく、原則として相続人が相続開始の原因たる事実およびこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時を意味すると解されています。

例えば、被相続人の父母の例で考えてみましょう。
被相続人に妻子があるケースで、被相続人の父母が被相続人が亡くなったことを知っただけでは「自己のために相続の開始があったことを知った」とはいえません。この場合は、子が相続放棄等で相続人としての地位を失ったことを知った時から熟慮期間を起算することになります。


2 熟慮期間の経過

熟慮期間内に相続放棄または限定承認の手続をしなかった場合は、単純承認したものとみなされます。

しかし、熟慮期間の3ヶ月というのは、法事や役所への届け出などの諸手続もあって、実際にはかなりあっという間に経過します。ですから、相続財産の調査で手間取っているような場合には、熟慮期間の伸長という手続を踏んでおいた方が良いでしょう。

それでは、いかなる場合でも熟慮期間が経過した後は相続放棄は一切認められないのでしょうか。

この点については、特別な事情があれば、相続放棄や限定承認が認められる可能性があります。
最高裁は、被相続人と相続人らが長期間にわたって没交渉であった事案で、相続人が相続開始の事実およびこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時から3ヶ月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったのは、相続財産が全くないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、相続人との交際状態その他諸般の状況からみて、相続人らに対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人らにこのように信じるにつき相当な理由があったためであると認定して、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべきものと判示しました。

しかし、これはあくまで例外的な事例ですから、なにか事情があれば相続放棄が認められると安易に考えるのは危険です。やはり原則どおり、熟慮期間内に相続調査を済ませて相続放棄の申述をするよう努めるべきでしょう。

 

2017年9月15日掲載

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