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豆知識 Vol.42 相続放棄:熟慮期間の起算点について

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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相続放棄について、民法915条1項本文は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない」と定めています。
この相続放棄をすることができる3ヶ月間を熟慮期間といいます。

それではこの熟慮期間は、いつから起算して3ヶ月なのでしょうか。


◼️ 熟慮期間の起算点

法律上熟慮期間が設けられた趣旨は、相続人が相続財産を調査して相続放棄をするか否か検討するのに必要な時間的余裕を与える点にあります。

とすると、ここでいう「自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、被相続人が死亡した事実と自己が相続人になった事実を覚知した時を指すようにも思われます。

しかし、このように考えると相続人に酷な場合が出てきます。
例えば、予想すらできなかった多額の借金が後から判明したような場合です。

この点、最高裁は、熟慮期間の起算点は原則として、相続人が相続開始の原因となった事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時から起算すべきとしつつ、例外的に、相続財産が全く存在しないと信じ、かつ、そのように信ずるにつき相当な理由がある場合には、相続人が相続財産の全部もしくは一部の存在を認識し、または、通常であれば認識しうべかりし時から起算することができると判断しました(最判昭和59年4月27日)。

学説では、①相続財産が全く存在しないと損じた場合に限られるとする限定説と、②一部の相続財産の存在を認識していたが、通常人がその存在を知っていれば当然相続放棄をしたであろうと言えるような債務が存在しないと信じた場合も含まれるとする非限定説が提唱されています。

上述の最高裁の判断は、限定説に立つものと考えられていますが、近時の下級審裁判例の中にはこれと異なる判断をしたものも散見されます。

 

2018年1月11日掲載

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