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豆知識 Vol.40 
親が相続放棄をした場合、子は相続人の地位に立つか

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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◼️ 事例

父方の祖父が多額の借金を残して死亡し、相続人は父一人でした。父は相続放棄をしましたが、自分も相続放棄をしないと借金を負うことになるのでしょうか。

◼️ 解説

結論から言うと、この事例の相談者の方は相続放棄をする必要はありません。
というよりは、そもそも相続人の地位に立たないのです。

このようなご心配をされる方は、代襲相続や直系尊属の相続放棄の事案と誤解しているものと思われます。


1 代襲相続について

代襲相続とは、民法が定める一定の事由(代襲相続原因)があることによって相続権を失った推定相続人に子がある場合は、その子が親が受けるはずだった相続分を代わりに受けて相続するというものです。

そして、民法が定める代襲相続原因は以下の3つです。

⑴ 被相続人の子が、相続の開始「以前」に死亡したとき
⑵ 被相続人の子が、相続人の欠格事由の規定に該当し、相続権を失ったとき
⑶ 被相続人の子が、廃除によって、その相続権を失ったとき

このように、相続放棄は代襲相続原因に含まれていません。
したがって、親が相続放棄をしても、その子が代襲相続によって相続人の地位に立つことはありません。

なお代襲相続の規定は、相続人が第三順位の兄弟姉妹である場合にも適用されます。


2 直系尊属の相続放棄

次に、より誤解を生じさせる原因になっていると思われるのが、第二順位の相続人である直系尊属の相続放棄です。

直系尊属の相続権は、被相続人に近い親等の尊属から帰属していきます。
例えば、被相続人の父母と祖父母が健在な場合、まず父母が相続権を取得します。
そして、父母が両名とも相続放棄をすれば、その父母はそもそも相続人ではなかったと扱われ、祖父母が相続人の地位に立ちます。

以上のような理由から、例えば、子が多額の借金を残して死亡し相続人が直系尊属であった場合に、父母が相続放棄をすると相続権が祖父母に移り、祖父母が相続放棄をしなければ子の借金が降りかかっていくのです。

直系尊属が相続放棄をした場合に相続権が遡っていくのは、法が相続人として「直系尊属」とだけ定めているからです。
父母も、祖父母も、さらにその先祖も直系尊属であることに変わりないのです。
ここが、相続人として単に「子」と規定されている第一順位とは異なるところです。

現行法では「親等の異なる直系卑属の間では、その近い者が先に相続人になる」というような規定は存在せず、被相続人の孫が相続人となるのは代襲相続が生じたときだけです。
そして、被相続人の子が相続放棄をすることは代襲相続の原因とされていませんから、被相続人の子が相続放棄をしたとしても、孫が相続人になることはないわけです。

 

2017年12月28日掲載

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