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豆知識 Vol.29 相続放棄後の相続財産の管理継続義務

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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相続人の相続財産管理について、法は「相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は相続放棄をしたときは、この限りでない。」と規定しています(民法918条1項)。

ただし書き以下を読むと、相続放棄をすれば相続人はもはや相続財産の管理義務を負わないかのように読めます(相続を承認すれば、自己の所有物として管理義務が発生しますので、相続人としての管理義務が消滅するのは当然です)。

しかし、民法はその一方で、「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」として、相続放棄後も相続人は引き続き一定の相続財産管理義務を負う旨規定しています(民法940条1項、管理継続義務)。

したがって、相続放棄をすればそれで直ちに相続財産とは綺麗さっぱり無関係というわけにはいかないのです。
ここでいう「その放棄によって相続人となった者」とは、他の共同相続人や次順位の相続人を指します。

ここで問題となるのは、相続人全員が相続放棄をするなどして、相続人がいなくなった場合です。
特に、相続財産の中に不動産がある場合には深刻な状況になります。
不動産の管理には少なからぬ費用がかかる上、適切な管理をしなければ他人に危害を及ぼすことになりかねないからです。

このように、相続人(本来的に相続財産を管理すべき立場にある者)がいるのかいないのかはっきりしない場合を想定した制度として、法は相続財産管理人の制度を設けています(民法951条以下)。
家庭裁判所によって相続財産管理人が選任されれば、相続放棄をした相続人は管理継続義務を免れることができます。

 

【追記】

相続放棄者の管理継続義務については、2023年4月1日施行の改正民法で規律が変更されております。
詳しくは、豆知識
Vol.97をご覧ください。

2017年11月29日掲載
2023年3月9日追記

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