盛岡の弁護士による相続のご相談
佐藤邦彦経営法律事務所

岩手県盛岡市中央通1丁目8番13号 中央ビル2階

営業時間
平日9時00分~19時30分
定休日
土日・祝祭日

電話相談も承ります。お気軽にどうぞ。

019-613-3246

豆知識 Vol.11 相続放棄の無効主張の可否

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

********

1 無効主張の可否

民法は、相続の承認・放棄の取消しについて規定しているだけで、相続放棄の無効については何ら規定を置いていません。
それでは、相続放棄の無効主張はできないのでしょうか。

この点、無効主張は可能であると考えられています。
民法上、無効原因になるものとしては、①心裡留保(民法93条但書)、②虚偽表示(民法94条1項)、③錯誤(民法95条)などが挙げられます。しかし、相続放棄の申述は、相手方のない単独行為という性質を有しているので、心裡留保と虚偽表示は極めて限定された場面でしか問題にならないでしょう。


2 錯誤無効の主張

錯誤とは、簡単に言えば「勘違い」や「計算違い」ということです。例えば、①相続税の軽減目的で相続放棄したが、高額になり目的を達せられなかったという場合や、②他の相続人も相続放棄することを想定して放棄したが、自分の予想した通りにならなかったという事例が典型例として考えられます。
錯誤無効の主張が認められるためには、法律行為の「要素」(重要部分)に錯誤があることが必要です。

この点、最高裁判所は、一般論として相続放棄の申述についても民法95条の適用はある(錯誤無効の主張は認められうる)としつつも、上記事例のいずれについても要素の錯誤に当たらないとして無効主張をしりぞけています。
しかし、下級審判例ではありますが、被相続人の母が被相続人の兄弟に相続させようと相続放棄をしたところ、被相続人の祖母が生存していたという事案で相続放棄の無効主張が認められたものがあります。この事案では、母が相続放棄をしたとしても、祖母が相続人となるので、被相続人の兄弟はお鉢が回ってこないのです。


3 無効主張の方法

判例は、相続放棄の無効確認訴訟は不適法としていますので、相続放棄の無効だけをテーマに訴訟を提起することはできません。したがって、相続放棄の無効を主張したい場合は、裁判上もしくは裁判外において争いとなっている相続に基づく法律関係の前提問題としてこれを主張することになります。

 

2017年9月24日掲載

関連記事

お問い合わせ

電話相談も承ります。お問合せはこちらへ。

019-613-3246

営業時間:平日9時00分~19時30分

お問合せ・ご相談はお電話またはメールにて受け付けております。まずは気軽にご連絡ください。