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豆知識 Vol.57 
相続放棄をした相続人は財産分与を求めることができるか

本コーナーの各記事の内容は、特にことわりがない限り掲載時点の法令に基づいたものとなっておりますのでご注意ください。

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■ 相続人の不存在と財産分与

相続人のあることが明らかでないときは、利害関係人の申立てによって家庭裁判所は相続財産管理人を選任します。

ここにいう「相続人のあることが明らかでない」場合には、相続人がもともと存在しなかったり相続放棄の結果相続人がいないとみなされる場合のような「相続人の不存在」も含まれます。

そして、このような場合で残余財産があるときは、生前に被相続人と特別な縁故があった者(特別縁故者)は財産分与を受けることができます。

特別縁故者とは、例えば、生前被相続人と生計を同じくしていた者や被相続人の療養看護に努めた者などがこれに当たります。

それでは、このような場合に、相続放棄をした相続人は、特別縁故者として財産分与を受けることができるでしょうか。


■ 相続放棄をした相続人の特別縁故者該当性

相続放棄は相続財産を一切承継しないという意思表示ですから、財産分与を申し立てることは矛盾した態度であるようにも思われます。

しかし、相続放棄をする事情は様々です。
相続財産に余剰が出るかどうか不明なので放棄した、あるいは、相続債権者からの執拗な請求から逃れるために放棄をした、という場合もあるでしょう。

この点について裁判例には、以下のような事例で相続放棄をした相続人が特別縁故者に当たるとして財産分与を認めたものがあります。

  • 被相続人の唯一の子である抗告人が、相続債権者からの際限のない請求を危惧して相続放棄の申述をしたが、相続財産の清算が終了し、相続財産分与の申立をした事案において、抗告人は被相続人と長年同居し、別居した後も被相続人宅を頻繁に訪れて被相続人の生活を気遣い、入院費を支払うなどの事情が認められることから、抗告人を特別縁故者と認めて相続財産を分与した事例(広島高岡山支決平18・7・20)

 

2018年4月25日掲載

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